指数の大小比較(指数関数)

こんにちは!

数学の部屋のうちやまです。

今回のテーマは「指数の大小比較」です!

 

「指数の大小比較」の解法のPOINT

「指数関数の性質」の復習

今回の内容に入る前に、「指数関数のグラフ」で学習した「指数関数の性質」を復習しておきましょう。

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指数関数 { y = a^x } のグラフは、{a}(これを「底(てい)」と呼ぶのでした)の値によって

 { a \gt 1 } のときは増加

 { 0 \lt a \lt 1 } のときは減少

となることから、上図のような性質が成り立つことを学習しました。

特に、底が {0}{1} の間、すなわち { 0 \lt a \lt 1 } のときは、指数の大小と全体の大小が逆になることに注意が必要でした。覚えていますか?

 

「指数の大小比較」の考え方

この性質は{a^p}{a^q} の大小(全体の大小)」は、「{p}{ q } の大小(指数の大小)」で判断できる、ということができます。

そして、今回のテーマ「指数の大小比較」は、この性質を利用します。

 

例えば { 2^{5} }{ 2^{10}} の大小を比較するときに、それぞれの値を具体的に求める必要はありません。

底がどちらも {2} でそろっているので、先ほどの性質を使えば「全体( {2^{5}}{2^{10}} )の大小」は、「指数( {5}{10} )の大小」で判断できます。

さらに、底は {2}{1} より大きいので「指数の大小と全体の大小は同じ」つまり「指数が大きい方が全体も大きくなる」と言えます。

よって、{ 2^{10}} の方が大きいことがわかります(実際に値を求めてみると、{ 2^5 = 32 }{ 2^{10} = 1024 } なので、確かに { 2^{10}} の方が大きい)。

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同じように、{ \left( \dfrac{1}{2} \right) ^{5} }{ \left( \dfrac{1}{2} \right)^{10} } の大小も、それぞれの値を具体的に求める必要はありません。

底がどちらも {\dfrac{1}{2}} でそろっているので、「全体( {\left( \dfrac{1}{2} \right)^{5}}{ \left( \dfrac{1}{2} \right)^{10}} )の大小」は、「指数( {5}{10} )の大小」で判断できます。

さらに、底は {\dfrac{1}{2}}{0}{1} の間なので「指数の大小と全体の大小は逆」つまり「指数が小さい方が全体は大きくなる」と言えます。

よって、指数が小さい方、つまり { \left( \dfrac{1}{2} \right)^{5}} の方が大きいことがわかります。(実際に値を求めてみると、{ \left(\dfrac{1}{2}\right)^5 = \dfrac{1}{32} }{ \left( \dfrac{1}{2} \right)^{10} = \dfrac{1}{1024} } なので、確かに { \left( \dfrac{1}{2} \right)^{5}} の方が大きい)。

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「指数の大小比較」の解法のPOINT

このように「指数の大小比較」の問題は、「底をそろえて指数の部分を比べる」ことで解くことが出来ます。

上の例は最初から底がそろっていましたが、もちろん底がそろっていない場合もあります。その場合は底をそろえることから始めましょう(詳しくは例題で確認しましょう)。

また、繰り返しになりますが、底が {0}{1} の間のときは「指数の大小と全体の大小は逆になる」ので注意しましょう。

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例題

それでは、例題を解いてみましょう(自分で解けそうな人は挑戦してみましょう)。

問題

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解答

(1)

{ \sqrt[3]{3} = 3^{\frac{1}{3}} }

{ \sqrt[4]{9} = 9^{\frac{1}{4}} = (3^2)^{\frac{1}{4}} = 3^{\frac{1}{2}} }

{ \sqrt[7]{27} = 27^{\frac{1}{7}} = (3^3)^{\frac{1}{7}} = 3^{\frac{3}{7}} }

ここで { \frac{1}{3} \lt \frac{3}{7} \lt \frac{1}{2} } であり

底:{ 3 \gt 1 } であるから

{ 3^{\frac{1}{3}} \lt 3^{\frac{3}{7}} \lt 3^{\frac{1}{2}} }

∴ { \sqrt[3]{3} \lt \sqrt[7]{27} \lt \sqrt[4]{9} \cdots}(答)

 

(2)

{ \sqrt{\frac{1}{2}} = \left( \frac{1}{2} \right)^{\frac{1}{2}} }

{ \sqrt[3]{\frac{1}{4}} = \left( \frac{1}{4} \right)^{\frac{1}{3}} = \left\{ \left( \frac{1}{2} \right)^2 \right\}^{\frac{1}{3}} = \left( \frac{1}{2} \right)^{\frac{2}{3} } }

{ \sqrt[4]{\frac{1}{8}} = \left( \frac{1}{8} \right)^{\frac{1}{4}} = \left\{ \left( \frac{1}{2} \right)^3 \right\}^{\frac{1}{4}} = \left( \frac{1}{2} \right)^{\frac{3}{4} } }

ここで { \frac{1}{2} \lt \frac{2}{3} \lt \frac{3}{4} } であり

底:{ 0 \lt \frac{1}{2} \lt 1 } であるから

{ \left( \frac{1}{2} \right)^{\frac{3}{4}} \lt \left( \frac{1}{2} \right)^{\frac{2}{3}}  \lt \left( \frac{1}{2} \right)^{\frac{1}{2} }}

{ \sqrt[4]{\frac{1}{8}} \lt \sqrt[3]{\frac{1}{4}} \lt \sqrt{\frac{1}{2}}  \cdots }(答)

解説

解法のPOINTに従って、底をそろえて指数を比べます。

(1) の指数( { \frac{1}{3}  ,  \frac{1}{2}  ,  \frac{3}{7} } )を比べる部分は、それぞれ通分してみると

{ \frac{1}{3} = \frac{14}{42} }

{ \frac{1}{2} = \frac{21}{42} }

{ \frac{3}{7} = \frac{18}{42} }

となり比べやすくなります((2)も同じ)。

(2) は、底が { \frac{1}{2} } である点に注意しましょう。底が {0}{ 1 } の間のときは、指数の大小と全体の大小が逆になります。

 

今回はここまでです。

最後までお読みいただきありがとうございました!