常用対数(対数関数)

こんにちは!

数学の部屋のうちやまです。

今回のテーマは「常用対数」です!

 

常用対数とは

常用対数(じょうようたいすう)とは、底が 10 の対数、つまり

  { \log_{10}{A} }

の形の対数のことです。

 

物理や化学などの「自然科学」では

{ 3800000 }{ 0.00015 }

などのように、とても大きな数やとても小さい数を扱うことがよくあります。

このままだと見にくいし、書くのも大変ですので

{ 3.8 \times 10^6 }{ 1.5 \times 10^{-4}}

のように、底が 10 の指数を使った表し方がよく使われます。

これらの値を計算するときに対数を使うことがありますが、指数の底が10なので対数の底も10にしておくと計算がしやすそうです。ということで、底が 10 の対数がよく用いられる(というか常に用いられる)ことから、底が 10 の対数に「常用対数」という名前が付きました。

 

常用対数表

上記のように、常用対数は自然科学系の学問ではよく使われるので、常用対数の値は細かい値まで求められています。それらをまとめたものが、教科書の巻末にも載っている、下のような「常用対数表」です。

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常用対数表の使い方

では、この「常用対数表」の使い方を説明します。

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例えば { \log_{10}{1.38} } の値を求めたいときには { 1.38 }{1.3}{ 8 } に分け、{ 1.3 } が書いてある行(青い囲み)と { 8 } が書いてある列(オレンジの囲み)の交わったところ(赤い囲み)の数字を読み取ります。「.1399」とは「0.1399」のことですので、{ \log_{10}{1.38} = 0.1399 } です。

同じように { \log_{10}{1.72} } の値を求めたいときには { 1.72 }{1.7}{ 2 } に分け、{ 1.7 } が書いてある行(青い囲み)と { 2 } が書いてある列(オレンジの囲み)の交わったところ(赤い囲み)の数字を読み取ります。よって{ \log_{10}{1.72} = 0.2355 } です。

 

常用対数の値

ここでは、{ \log_{10}{1} } , { \log_{10}{2}} , { \log_{10}{3}} , { \cdots} , { \log_{10}{10} } の値を求めてみます。これらの値は、常用対数の問題でよく使われますので、今のうちに覚えておきましょう。

これらの常用対数の値は

 ① 対数の意味からわかるもの

 ② 問題文で与えられるもの

 ③ 変形して求めるもの

の3つに分かれます。1つずつ見ていきましょう。

 

① 対数の意味からわかるもの

{ \log_{10}{1} }{ \log_{10}{10} } は、対数の意味を考えればすぐにわかります。

{ \log_{a}{b} } とは「{a} を何乗したら {b} になるか」を表す数でしたから

 

{ \log_{10}{1} }

{ = }(10 を何乗したら 1 になるか)

{ = 0 }

 

{ \log_{10}{10}}

{ = }(10 を何乗したら 10 になるか)

{ = 1 }

 

となることがわかります。

② 問題文で与えられるもの

{ \log_{10}{2} = 0.3010 }

{ \log_{10}{3} = 0.4771 }

{ \log_{10}{7} = 0.8451 }

は問題文で与えられます。

③ 変形して求めるもの

①②以外の

{ \log_{10}{4} }{ \log_{10}{5} }{ \log_{10}{6} }{ \log_{10}{8} }{ \log_{10}{9} }

については、次のように変形すると { \log_{10}{2} }{ \log_{10}{3} } で表すことが出来ます。

 

{ \log_{10}{4} }

{ = \log_{10}{2^2} }

{ = 2 \log_{10}{2}}

{ = 2 \times 0.3010}

{ = 0.6020}

 

{ \log_{10}{5}}

{ = \log_{10}{\dfrac{10}{2}} }

{ = \log_{10}{10} - \log_{10}{2} }

{ = 1 - 0.3010 }

{ = 0.6990 }

 

{ \log_{10}{6} }

{ = \log_{10}{(2 \times 3) }}

{ = \log_{10}{2} + \log_{10}{3} }

{ = 0.3010 + 0.4771 }

{ = 0.7781 }

 

{ \log_{10}{8}}

{ = \log_{10}{2^3} }

{ = 3 \log_{10}{2} }

{ = 3 \times 0.3010 }

{ = 0.9030 }

 

{ \log_{10}{9} }

{ = \log_{10}{3^2} }

{ = 2 \log_{10}{3} }

{ = 2 \times 0.4771 }

{ = 0.9542 }

 

まとめ

以上まとめると次のようになります。

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 当然、③(変形して値を求めるもの)が重要です。特に { \log_{10}{5} } の変形は少し特殊な気がしますので、しっかり変形のしかたを覚えておきましょう。

 

今回はここまでです。

最後までお読みいただきありがとうございました!