関数の増減

こんにちは!
数学の部屋のうちやまです。
今回のテーマは「関数の増減」です!

 

今回の問題

今回はこの問題に挑戦です!

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講義

それでは、問題を解くために必要なコトを解説していきます!

関数の増減

今回の目標は、例えば

  { y = x^3 - 6x^2 + 9x + 1 }

のような、今まで見たことのない関数のグラフを描くことです。

 

もちろん

 { x = 1 } のとき { y = 5 }

 { x = 2 } のとき { y = 3 }

   ・・・

と調べて点をとり、それらを線でつなげればグラフは描けますが、少し大変です。今回はもっと簡単に、グラフの「大ざっぱな形」を描く方法を考えてみましょう。

 

グラフの「大ざっぱな形」とは、「グラフがいつ上がっていつ下がるのか」ということ。言い換えると「関数の値がいつ増加していつ減少するのか」ということです。では、それらを微分法の知識を使って考えてみましょう。

 

導関数の講義で学習したように、導関数 { f'(x)} の図形的イメージは「接線の傾き」でした。そこで、接線の傾きに注目してみます。例えば、放物線で考えてみましょう。

 

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まず、関数 {f(x)} の値が増加している部分の接線の傾きに注目すると、傾きは正であることがわかります。つまり、{ f'(x) \gt 0} ということです。従って

関数 { f(x) } の値が増加している(グラフが上がっている)とき、{ f'(x) \gt 0 } となる

といえそうです。

 

次に、関数 {f(x)} の値が減少している部分の接線の傾きは負、つまり { f'(x) \lt 0 } ということですので

関数 {f(x)} の値は減少している(グラフは下がっている)とき、{ f'(x) \lt 0 } となる

といえそうです。

 

さらに、関数 {f(x)} の値が一定になる部分(減少から増加に変わる部分)の接線の傾きは0、つまり {f'(x)=0 } ということですので

関数 { f(x) } の値が一定になるとき、{ f'(x) = 0 } となる

といえそうです。

 

このように、{f'(x)} の符号を調べれば関数 { f(x)} の値の増加・減少の様子がわかる、ということです。

 

 

グラフの描き方

では、今の話をベースにして、先ほどの関数 { y = x^3 - 6x^2 + 9x + 1 } のグラフを描いてみましょう。

 

グラフは次の3つのStepで描くことができます。

 

1つずつ、詳しくみていきましょう。

Step1:{f'(x)=0} となる {x} を求める

{f'(x)} の符号で増加・減少の様子がわかるのですから、まず {f'(x)} を求めるのは自然なことですね。

 

今回は { f(x) = x^3 -6x^2 + 9x + 1 } とおくと

{ f'(x) = 3x^2 - 12x + 9 }

{ = 3(x^2-4x+3 ) }

{ = 3(x-1)(x-3) }

となります(因数分解した理由はこの後すぐにわかります)。

 

そして、増加と減少が切り替わる部分を求めるために { f'(x) = 0 } を解きます。

 

今回は {f'(x) = 0 } すなわち { 3(x-1)(x-3) = 0 } より { x = 1 , 3 } です。あらかじめ因数分解しておいたので、ラクに解くことができました。

 

Step2:増減表をかく
次に、関数の値の増加・減少の様子を、「増減表」と呼ばれる表にまとめます。 
 
増減表は3行の表で、1行目から順に「{x}」「{f'(x)}」「{f(x)}」とかきます。

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それでは1行目から順に説明していきます!
 
■1行目:{ f'(x) = 0 } となる {x} をかく

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1行目は、Step1で求めた {x}、つまり {f'(x) = 0 } となる {x} をかきます。今回は { x = 1 , 3 } でしたので、小さい順に {1}{3} をかきます。
 
■2行目:{f'(x)} の符号をかく

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2行目は、{ f'(x) } の符号を「0」「+」「ー」でかきます
 
今回はまず、{ x = 1 , 3 } のときは { f'(x) = 0 } でしたので、2行目の { x = 1 }{ x = 3 } に対応するところには「0」とかきます。
 
次に「・・・」で書かれている部分ですが、具体的な値を代入して考えるとわかりやすいです。
例えば {x=1} より小さい部分は、 { x = 0 }{ f'(x) } に代入すると { f'(0) = 9 \gt 0 } となるので「+」をかきます。同じように、{x=1}{ x=3} の間の部分は {x=2} を代入して { f'(2) = -2 \lt 0 } なので「ー」、{ x = 3} より大きい部分は { x = 4 } を代入して { f'(4) = 9 \gt 0 } なので「+」をかきます。
 
■3行目:{f(x)} の増減をかく

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 3行目は、{ f(x)} の値の増加・減少の様子を「矢印」でかきます
 
2行目が「+」のときは3行目に「右上がりの矢印」を
2行目が「-」のときは3行目に「右下がりの矢印」をそれぞれかきます。
 
[ tex:{x=1}] と { x=3 } のときは具体的に値が求められるので、{ ( f(1) =) 5 }{ ( f(3) =) 1 } をかいておきます。
 
これで増減表が完成しました!
 
Step3:グラフをかく

Step2でかいた増減表をもとに、グラフを描きます。増減表をみれば

 { x \lt 1 } のときは増加

 { x = 1 } のときは一定

 { 1 \lt x \lt 3 } のときは減少

 { x = 3 } のときは一定

 { 3 \lt x } のときは増加

となっていることがわかります。よってグラフは次のようになります({y} 軸を通るので { y } 切片を求めておきます。もちろん {f(0)} を計算して { f(0) = 1 } ですね)。

 

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以上でグラフが描けました。講義を読んだだけではなかなか身に付かないと思いますので、具体的な問題をたくさん解いて定着させましょう。

 

極値

最後に新しい言葉を紹介します。先ほどのグラフを見てください。

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このグラフにおいて

 増加から減少に変わる部分(「山」の部分)を「極大」といい、そのときの { y } の値を「極大値」

 減少から増加に変わる部分(「谷」の部分)を「極小」といい、そのときの { y } の値を「極小値」

といいます。さらに「極大値」と「極小値」を合わせて「極値」といいます。

 

今回の問題(再掲)

では改めて、今回の問題を掲載しておきます。
自分の力で解いてから、下の解答・解説を読んでみましょう!

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解答・解説

{ f(x) = -2x^3 - 3x^2 +12x } とおくと

 

{ f'(x) }

{ = -6x^2 -6x + 12 }

{ = -6(x+2)(x-1) }

より

{ f'(x) = 0 \Longleftrightarrow x = -2 , 1 }

 

増減表は次のようになる

 

 

よってグラフは下図

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